はじめに| 本田技研工業の研究開発チーム
本田技術研究所パワーエレクトロニクス開発部では、生産性の向上、開発の効率化、そして納期の短縮が重要な課題となっています。これらは、制御開発においてHIL(Hardware-in-the-Loop)やMBD(モデルベース開発)が注目されている主な理由でもあります。
では、長年HIL技術のユーザーであり、提唱者でもある本田技術研究所が、なぜTyphoon HILを選んだのでしょうか?開発部門の担当者に話を伺いました。以下では、MyWayチームと本田技術研究所のエンジニアである北本良太氏、進藤雄介氏による対談を掲載します。

課題| テスト管理の複雑さの増大
当部門では、比較的シンプルな機能を持つコンポーネントを開発していたため、これまでは実機を用いて制御のデバッグを行ってきました。しかし、組込みシステムに求められる機能や複雑さが増し、開発工数も増加したため、開発期間の短縮を図るため、HIL(Hardware in the Loop)シミュレーションを導入することにしました。

開発時間を短縮するために、Typhoon HIL ハードウェアインザループ シミュレーション プラットフォームを使用することを決定しました。
ソリューション| 適切なHILソリューションプロバイダーを見つける
さまざまなHILソリューションを比較する際には、機能性、柔軟性、そして使いやすさを評価しました。例えば、FPGAベースのHILソリューションには、モデリングにも精通し、HILシミュレーションの構築に必要な複数のソフトウェアツールを使いこなせる経験豊富なFPGAエンジニアが必要です。
モデルを変更するのがいかに簡単か、そして Typhoon HIL がいかに速くモデルをコンパイルするかが気に入りました。
Typhoon HILを採用する決め手となったのは、パワーエレクトロニクス設計エンジニアが他のパワーエレクトロニクスシミュレーションソフトウェア(PSIMなど)と同じようにHILを使用できる点です。FPGA設計ツールに関する事前の知識は必要ありません。ユーザーフレンドリーで直感的なソフトウェアと、高度に統合されたハードウェアを組み合わせることで、エンジニアはモデルに簡単に変更を加え、ワンクリックで変更をコンパイルできます。

結果| HILのメリット
実機を用いたテストと比較して、HILでは複雑なテスト準備を必要とせず、制御部分の設計に集中することができました。回路シミュレータのような直感的で分かりやすいモデルインターフェースにより、HIL(Hardware-in-the-Loop)シミュレーションの詳細な技術的知識がなくても容易に使用できます。

HIL を使用すると、複雑なテストの準備を必要とせずにコントローラーの設計に集中できます。
Typhoon HILソリューションの導入にかかる学習曲線は、他のHILプラットフォームに比べて緩やかで、短期間です。さらに、モデルのコンパイルが非常に高速であるため、細かな修正を加えながら検証にかかる時間が大幅に短縮されます。
Hondaの研究開発チームは、電動駆動、発電機、EV充電など、モビリティ分野の技術の限界を押し広げることに注力しています。Typhoon HILのコントローラーHIL(C-HIL)テストが、新しいソフトウェアの開発とテストをより効率的かつ安全に行うためにどのように役立つかについて詳しくは、パワーエレクトロニクスソリューションのページをご覧ください。
クレジット
著者| MyWay
ビジュアル| カール・ミッケイ
編集者| デボラ・サント