電力変換システム（PCS）の開発では、簡略化されたシミュレーションから複雑な実世界システムへの移行において、大きな課題が伴います。オフラインシミュレーションのみで開発・テストされた制御アルゴリズムは、物理ハードウェアに実装すると期待どおりに動作しない可能性があります。さらに、開発段階からリアルタイム展開段階へのコード変更は、物理プロトタイプにおいて不安定性、遅延、または不正確な応答につながる可能性があります。最終的なハードウェアが利用可能になる前に制御戦略をリアルタイムでテストおよび検証することで、早期のエラー検出と広範なテストが可能になり、開発期間とコストを削減しながら製品品質を向上させることができます。

このホワイトペーパーでは、カタロニアエネルギー研究所（IREC）がH2020 HYBRISプロジェクトにおいてラピッド・コントロール・プロトタイピング（RCP）を適用した際の機能概要を説明します。このプロジェクトでは、HIL404リアルタイムシミュレータが電力変換システムのコントローラとして機能します。設計初期段階では、Typhoon HIL Control Centerを用いて、電力段と制御ループの両方をモデルインザループ（MIL）構成でモデル化し、HIL404上でリアルタイムに実行します。この構成により、ハードウェアとソフトウェアの両面をプロトタイプ作成前に検証できます。RCP手法に従い、電力変換装置のプロトタイプを開発する一方で、制御段はプロトタイプコントローラとしてHIL404上に実装されたままです。

Typhoon HILシミュレータの高解像度アナログ入力と内蔵PWM変調機能により、センサ計測値を正確に取得し、物理的なPCSプロトタイプ上でMOSFETゲートドライバを効果的に制御できます。これにより、PCS制御戦略のテストにかかる開発リスクと時間を大幅に削減するラピッド・コントロール・プロトタイピング（RPCP）手法が実現します。

HYBRIS: 先進グリッドおよびメーター背後システム分野のアプリケーション向け HYbris バッテリー エネルギー貯蔵システムは、助成契約番号 96365 に基づき、欧州委員会 H2020 プログラムから資金提供を受けています。