位相的な衝突

このセクションでは位相的な衝突について説明します

位相的な衝突

注:ここで説明する概念や機能のインタラクティブな概要は、 HIL アカデミーHIL スペシャリスト 2.0 認定プログラムの一部として、またビデオ ナレッジベースでも入手できます。

回路におけるトポロジカルな矛盾は、状態縮退とソース縮退です。これらの矛盾は解析やシミュレーションが困難です。多くの場合、回路解析の結果、無限大の電流/電圧が発生する可能性があります。

状態縮退とは、回路内の容量とインダクタンスが縮退することです。図1では、電圧源と並列に接続されたコンデンサが縮退しています。また、図1では、電流源と直列に接続されたインダクタが縮退しています。

リアルタイム/VHIL シミュレーションでは、縮退したコンデンサとインダクタは、それぞれ指定された静電容量またはインダクタンスの値に等しい抵抗値を持つ抵抗器に置き換えられます。

TyphoonSimでは、位相的な衝突により高指数DAEが生じ、数値的に解くのが困難になります。この問題に対処するため、高指数DAEは、縮退したコンデンサとインダクタに関連する隠れた代数的制約を微分化することで、一般的に用いられる指数削減手法を用いて指数1のDAEに変換されます[ 1 ]。

1状態退化
2リアルタイム/VHILにおける劣化した容量とインダクタンスの警告レポート

電源の縮退には、独立電源の直接縮退と、独立電源とゼロ電源の直接縮退の2種類があります。ゼロ電源とは、開閉スイッチのことです。理想的なスイッチ(Ron = 0、Roff = inf)を使用する場合、開閉スイッチは電流がゼロの電流源であり、開閉スイッチは電圧がゼロの電圧源です。

図3に示すような独立電圧源の直接的な縮退は解決できません。このような回路のコンパイルは失敗し、エラーレポートが出力されます。

3独立情報源の直接退化
4リアルタイム/VHILにおける独立ソース縮退時のエラーメッセージ

リアルタイム/VHILシミュレーションでは、図5に示すような、ゼロソース(開閉スイッチ)を持つ独立電源の縮退は、次のように自動的に解決されます。電圧源と並列に接続された閉スイッチは開スイッチとして扱われ、独立電流源と直列に接続された開スイッチは閉スイッチとして扱われます。つまり、独立電圧源と並列に接続されたスイッチを閉じても回路には影響がなく、独立電流源と直列に接続されたスイッチを開いても回路には影響がありません。このような縮退が発生した場合、コンパイル時に警告メッセージが生成されます。

In TyphoonSim, if ideal switches (Ron = 0, Roff = inf) are used, degenerations of independent sources with zero sources (open and closed switches), shown in Figure 5, will fail and an error report will be printed out. On the other hand, if switches are modelled as variable resistors (Ron > 0, Roff < inf), then, no simulation failure is expected to occur.

5独立音源とゼロ音源の直接退化
6リアルタイム/VHILにおける縮退した閉スイッチと開スイッチの警告レポート

リアルタイム/VHILシミュレーションにおいて、カップリング部品を挿入すると、図6に示すような劣化が通常の回路で発生することがあります。このような場合は、適切なスナバ回路またはシャント回路を使用する必要があります。

参考文献

  1. SE Mattsson、G. Söderlind、 「ダミー導関数を用いた微分代数方程式の指数削減」、技術レポート、TFRT-7477、ルンド工科大学自動制御学部、1991年